あなたは賃貸物件から退去する際に、トラブルを経験したことがありますか。
賃貸物件からの退去がスムーズに進めばいいのですが、現実には様々なトラブルが発生することもあります。
今回は賃貸物件の退去時にトラブルを経験したことがある304人にアンケートを実施。
トラブルの内容や、トラブルに対してどのように対処したかを調査しました。
【調査概要】
- 調査対象:賃貸物件の退去時にトラブルを経験したことがある人
- 調査期間:2023年10月29日~11月12日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:304人(女性161人/男性143人)
- 回答者の年代:20代 14.8%/30代 39.8%/40代 29.3%/50代 13.8%/60代以上 2.3%
賃貸物件の退去時に起きたトラブル1位は「室内の傷・汚れを指摘された」
賃貸物件を退去する際に起きたトラブルで最も多かったのは、「室内の傷・汚れを指摘された(104人)」でした。
2位「元々あった傷・汚れを指摘された(66人)」、3位「経年劣化の傷・汚れを指摘された(29人)」がランクインしています。
人が生活していれば、どうしても傷や汚れはできます。
指摘が的確なこともありますが、「元々あった傷・汚れを指摘された」「経年劣化の傷・汚れを指摘された」といった場合にはトラブルになりやすいでしょう。
1位 室内の傷・汚れを指摘された
- 子どもが襖に落書きしていたため、請求されることはわかっていました。「すべてが汚い」と言われました(30代 女性)
- 壁にヒビが入っていたので修繕費を請求された(40代 男性)
- カーペットに凹んだ部分があったので、交換費用を請求された(50代 男性)
1位は「室内の傷・汚れを指摘された」でした。
室内の傷については、「落書き」「家具をぶつけて傷をつくった」「掃除を怠ってひどいカビが生えた」など、入居者に非があることもあります。
上記のような場合は入居者も自覚しているでしょうから、請求額が適切ならトラブルにはならないでしょう。
しかし、ごく小さな傷まで指摘されたり、高圧的な態度で指摘されたりした場合は、トラブルにつながりやすいです。
部屋を汚して反省していたところへ、「こんなに汚く使う人は初めて」と嫌味を言われて落ち込んだ人もいました。
2位 元々あった傷・汚れを指摘された
- 入居時に報告していたにも関わらず、入居開始時から壊れていたキッチンの修繕費用を請求されました(20代 男性)
- 壁紙が変色していたので修繕費を要求された。自分が住み始めた時にはすでに変色していたため、不満が残った(30代 男性)
- 入居時からついていた床の傷に対して「修繕費が必要」と言われた(40代 女性)
2位は「元々あった傷・汚れを指摘された」です。
入居者が入れ替わる賃貸物件では、入居時から室内や住宅整備に傷や不具合があることも少なくありません。
しかし退去時、入居開始当時からあった傷や不具合に対して、修繕費を請求されてしまう例もあるようです。
入居時に「傷・不具合を報告してください」としている管理会社もありますが、報告していても手違いで請求されてしまうケースがあります。
3位 経年劣化の傷・汚れを指摘された
- エアコンが経年劣化でかなりガタがきていて、退去時に「取り替え工事の費用と新品の購入価格を代わりに払ってくれないか」と言われた(20代 男性)
- 壁紙の経年劣化による変色など、支払い義務がないものを請求されてしまった。後日不動産会社に勤めていた友人に話したところ「払わなくてもいいのに」と言われ、悔しい思いをしました(30代 女性)
- 明らかに経年劣化なのに交換費用を請求された(50代 男性)
3位は「経年劣化の傷・汚れを指摘された」でした。
住宅には時間経過による自然な劣化(経年劣化)や、常識的な暮らし方でできてしまう傷や汚れ(通常損耗)が発生します。
上記のような劣化や傷については、大家さんが修繕費を負担するのが原則です。
しかし退去時に経年劣化や通常損耗の範囲内と思われる部分について修繕費を請求され、揉めた人もいました。
経年劣化や通常損耗の範囲を判断するのが難しいのも、トラブルが多い一因です。
4位 予想より修繕費が高かった
- 畳の交換や部屋の掃除代などで、敷金を越えて請求された経験があります(30代 男性)
- 退去費用についての説明がなく、解約の書面が届いてかなり高額な退去費用を請求された(40代 女性)
- ドアや壁などの修理代を18万円も請求されました(50代 男性)
4位は「予想より修繕費が高かった」でした。
修繕費は基本的に敷金を充当しますが、敷金だけで足りない場合は追加で請求されます。
「汚れはあるけれど、小さな範囲だし入居時に敷金も払っているから、数万円程度で済むだろう」と思っていたら、10万円を超える請求が届いて驚いたという人もいました。
高額な請求が来た場合はまず落ち着いて、費用の内訳や詳しい修繕の内容をチェックしてください。
5位 設備の破損・故障を指摘された
- エアコンのカバーが一部破損していて、立ち会いで指摘された(30代 女性)
- お風呂の水栓についている鎖がちぎれたと報告したら、費用を請求されそうになった(40代 女性)
5位は「設備の破損・故障を指摘された」でした。
エアコンやお風呂など、賃貸に備え付けられている設備の破損や故障を指摘された人もいました。
入居者が無理な使い方をして壊れたのなら、入居者が費用を負担します。
ただ自分に非がない故障や破損なのに、修繕費を請求されて不満を感じた人も多くなりました。
6位 敷金が返ってこなかった
- 大家さん都合で賃貸物件を取り壊すための退去だったのに、敷金が戻ってこなかった(40代 女性)
- 部屋をきれいに使っていたのに、敷金1ヶ月分が返ってこなかった(40代 男性)
- 冬季間の退去は敷金を返還できないと言われた(50代 女性)
「敷金が返ってこなかった」が6位でした。
「部屋をきれいに使っていて修繕費は高くないはずなのに、まったく敷金が返金されない」と不満を抱いた人もいます。
払った敷金が高額であるほど、不満は大きくなるでしょう。
また北海道では「冬の退去では敷金を返金しない(冬期解約条項)」というローカルルールがあり、知らずに驚いた人もいました。
なお家主都合で立ち退きを要求された場合には、敷金は全額返還されるのが基本です。
7位 契約とは違う請求があった
- 契約にない費用を請求された(30代 女性)
- 退去時の清算金で、契約書にない費用を請求された(40代 男性)
7位は「契約とは違う請求があった」でした。
賃貸契約時に「退去費用の内容」を確認していたにも関わらず、実際には契約書にない費用が請求されてしまった例も。
また、退去立ち会い時には担当者から追加請求はないと言われたのに、実際には追加請求があったという声も寄せられました。
賃貸物件の退去時に起きたトラブルの対処法は「請求額通り払った」
賃貸物件を退去する際に起きたトラブルに対してどのように対処したかを聞いたところ、圧倒的1位は「請求額通り払った(111人)」でした。
3割以上の人は、不満をもちつつも請求通りに支払っていることがわかります。
一方で支払わなかった人や、交渉や抗議・相談を行った人も。
「不動産や退去費用についての知識があるか」「頼れる人が身近にいるか」が、対処方法の選択に影響するのかもしれません。
1位 請求額通り払った
- 大きな額ではなかったので支払いました(20代 男性)
- 敷金では足りず、20~30万円ほど上乗せして請求された通りの金額を支払いました。言われるがまま支払ってしまい、10年以上経過した今思い出しても悔しいです(30代 女性)
- 当日現金一括で支払った。時間がないのと知識がないのとで、言われた通りの金額を渡した(50代 男性)
1位は「請求額通り払った」でした。
言われるまま支払った理由は、「大きな額ではなかった」「自分が悪かった」「時間がなく面倒だった」「知識がなかった」などです。
納得しないままに高額の修繕費を払ってしまった人は、今でも釈然としない気持ちを抱えていました。
修繕費を請求された場合は、本当に払うべきお金か、修繕費の額は適切かを冷静に考えたいですね。
2位 交渉・抗議して支払わなかった
- 「無理な使用はしていないので、経年劣化ではないか」と主張したところ、請求なしになりました。大きな請求額ではありませんでしたが、入居時に敷金礼金やクリーニング代を払っていたので、納得できず抗議しました(20代 女性)
- 入居時点で跡に気づいていたので、スマホで写真を撮っていました。写真を見せて、支払わずにすみました(30代 男性)
- 担当者では話にならなかったので、「生活しているとつくもので、故意ではない」と本社に連絡し、請求を取り下げてもらった(40代 女性)
2位は「交渉・抗議して支払わなかった」です。
経年劣化や通常損耗、元々あった傷について修繕費を請求された人のなかには、納得できずに交渉・抗議した人もいます。
「経年劣化や通常損耗は大家さん負担」「元々あった傷について請求されるのはおかしい」と知っているからできる行動ですね。
元々あった傷については、入居時の写真や、入居時の傷・汚れチェック表などをもとに交渉するとスムーズでしょう。
3位 第三者に相談した
- 弁護士に相談して、支払いなしで和解した(20代 男性)
- 知り合いに相談してアドバイスをもらい、話し合いの末支払わずに済んだ(40代 女性)
- 国民生活センターに相談し、もらった資料を賃貸管理会社に提出したら、ふすまの変色についての請求はなくなった(50代 男性)
3位は「第三者に相談した」でした。
相談相手は「家族や知り合い」「弁護士や行政書士」「国民生活センター」などです。
弁護士や行政書士への相談はハードルが高く感じるかもしれませんが、自治体が開催している「市民無料相談」でも相談可能ですよ。
弁護士や公的機関に相談してきた旨と伝えると、大家さんや管理会社の態度が軟化するケースは多いようです。
4位 交渉・抗議したが請求通り払った
- 抗議したが聞き入れてもらえなかったので、泣き寝入りしました(20代 男性)
- 納得できなかったので最初は抵抗しましたが、問題は解決しませんでした。くだらないことで長く悩むのは嫌だと思い、仕方なく払うことにしました(30代 女性)
「交渉・抗議したが請求通り払った」が4位でした。
納得できずに交渉したものの、埒が明かずに諦めた人もいるとわかります。
諦めた理由は「面倒になった」「悩むのが嫌だった」「相手がどうしても折れなかった」などです。
5位 交渉・抗議して減額してもらった
- 「画鋲の跡は原状回復費用を請求されない」のは常識だと思うので、店長さんに抗議しました。結果、画鋲の跡については請求されず、他の場所に関しても少し値引きしていただきました(30代 女性)
- 各設備の耐用年数や原状回復のガイドラインについて話したら、請求額が大幅に減り、納得できる金額の支払いですみました(40代 男性)
5位は「交渉・抗議して減額してもらった」でした。
納得できない費用について抗議し、一部費用の取り消しや減額に成功した人もいました。
ただ減額で成功と言える人もいれば、「本当は支払いなしにしたかったが、半額で折れた」という人も。
折れた理由は「時間がない」「面倒」などです。
賃貸物件の退去時トラブルの影響1位は「金銭的損失」
「賃貸物件の退去時にトラブルが生じたこと」で受けた最も大きな影響を聞いたところ、1位は「金銭的損失(40.5%)」でした。
僅差の2位は「精神的ストレス(36.8%)」、3位は「時間の浪費(17.1%)」です。
引越しはお金がかかりますから、予想外の退去費用がかかることで、金銭的負担を感じるのは当然でしょう。
また抗議や交渉によってで気持ちがすり減ったり、面倒な思いをしたり、結論が出るまでモヤモヤしたりと、精神的ストレスが大きいのもうなずけますね。
まとめ
退去時には「退去費用の請求」に関するトラブルが起こるケースがあります。
予想外に高額な請求をされた場合は、まず冷静に請求書の内訳をチェック。
高すぎる項目や内容が不明な項目があったら、大家さんや管理会社に問い合わせましょう。
正当な請求であれば、納得できる説明が返ってくるはずです。
「大家さんや管理会社の態度が怖い」など、ひとりでは問い合わせや交渉が難しい場合は、弁護士や消費生活センターに相談する方法もあります。
退去費用を言われるがままに払ってしまい後悔している人も少なくないので、納得してから払うようにしましょう。
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